ジャパニマフランス

フランス暮らしコミックエッセイと映画レビューがせめぎあっている

【激ヤバスプラッタービデオ】ホラー映画「FOUND」ファウンド ネタバレと感想

原題:FOUND

2012年/ カナダ/ 103分

出演者:ギャビン・ブラウン/ イーサン・フィルベック

監督:スコット・シャーマー

 

【あらすじ】

人は誰でも何か秘密を隠している。ママはベッドの下に大量のラブレターを隠している。パパはガレージにポルノ雑誌を。そして兄のスティーヴは、カバンの中に生首を隠している。

狂っているのは世界?殺人鬼の兄?それとも・・。12歳の少年の目から見た理不尽で残酷な日常を淡々と映し出す、問題作。

 


www.youtube.com

 

本作は殺人鬼の兄を持つ少年目線で物語が進みます。途中出てくるスナッフフィルムっぽい映像がとにかく強烈。

とくに犯人が自慰のために死体の頭部を利用するシーンがグロ注意です。しかも首の切断面を使うよ!

 

殺人ビデオとか殺人鬼の兄の犯行現場とか血生臭い演出が続きますが、この映画はホラーの皮をかぶった人間ドラマです。

 

 

【↓以下は映画のネタバレがあるので、まだ観ていない人は気をつけてね!】

 

 

まず主人公のマーティを取り巻く登場人物たちが微妙な性格のクソさです。めっちゃ極悪人が出てくるとかではなく、日常に紛れる性格の悪い奴らが頻出します。

 

マーティが学校やその他同年代の子どもと関わる場所でじわじわと嫌な目に遭います。周囲にいる大人たちもみな綺麗事を並べてマーティに我慢を強いる。

あまつさえマーティがいじめっ子に反撃したときでさえ、大人達はその行為を非難するのです。

 

マーティは常に理不尽の憂き目に遭います。

 

具体的に言うと、

  • 全身から”邪悪”というオーラを漂わせている同級生に性的ないじめに遭う。
  • 教会のクソガキにネチネチと嫌がらせされる。我慢の限界でやり返したマーティが逆に大人達から責められ、謝罪を強制される。
  • 唯一友達だと思っていたクラスメイトから見下され、バカにされる。

 

という具合です。

 

あと、マーティが反撃するに至るまでの経緯を全く考慮せず、結果としての暴力の不当性のみを糾弾するアフリカ系の神父とかもすごい精神にキツい。なんも知らんお前に説教されたないわ!みたいなね。

 

唯一マーティを庇ってくれたのは連続殺人鬼の兄・スティーヴでした。なぜかまともな人間に見えてくる不思議。

 

しかし最終的にスティーヴはマーティを拘束し、隣室で両親を拷問にかけ殺害します。拷問の詳細は映っていないのですが、翌朝弟が目を覚ますと枕元に両親の生首が。

 

かなりきつい絵面になっています。(しかもマーティの両サイドにひとつずつ配置)

 

【↓以下は登場人物の雑な説明です。】

 

マーティ:本作の主人公。気弱な性格で、クラスメイトからいじめにあう。やられっぱなしだったが、兄の影響で反撃することを覚える。

 

ティーマーティの兄で連続殺人鬼。殺人の際はガスマスクを着用する。弟が自分の行為に感謝したことによって、弟だけは絶対に傷つけないと誓う。

仕事をしているようだが、詳細は一切不明。社会に怒りを感じており、アフリカ系の住民を殺人のターゲットにしている。

 

リサ:マーティの母親。家族の和に馴染もうとしないスティーヴに戸惑い、従順なマーティに安堵している。普通の兼業主婦。世間体を気にしており、悪目立ちしたくない。

 

スタンリー:マーティの父親。反抗的な態度のスティーヴに苦言を呈す。いじめを受けたマーティを映画に連れていくなど、気には掛けている様子。普通の父親。しかしこう、母親もそうなんだけど第三者目線で見ていると、「この人たちと家族になったら、この人たちの中にある倫理観と理想の中で息してないとダメだな」とは思う。

 

マーカス:マーティを執拗にいじめるアフリカ系の児童。教師への態度もふてぶてしい。こいつは早い段階でスティーヴにより生首になる。

 

トレヴァー:同じ教会に通う児童。こんな底意地悪そうな外見の子役どっから見つけてきたんや。大人たちに隠れてマーティに嫌がらせを繰り返すが、反撃され涙目。

 

デヴィッド:マーティの唯一の友人(?)というテイだが、ホラー趣味が一致しているだけで本当の友なのかは謎。しばしばマーティを見下す。

最終的にマーティにより被害者(マーカス)の生首を見させられ、気分が悪くなり帰宅した。

 

問題のスプラッタービデオのシーンは演出こそ激グロですが、チープな作り物感が出ているのでそこまで気持ち悪くなりません。

冒頭にも書きましたがこの映画の本質はホラーではなく子どもの世界を蹂躙する理不尽です。それこそがある意味ホラーかもしれません。

 

後半、兄が血みどろ祭りを繰り広げるあたりはある種のカタストロフィがあるので、一件の価値ありです。

 

【↓実際の兄はこんなにムキムキではない。手にしている頭部はマーティぽいですが、劇中で兄が弟を手にかける描写はありません。】

FOUND ファウンド(字幕版)

FOUND ファウンド(字幕版)

  • ギャビン・ブラウン
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はてなブログProをやめた話

こんにちは。約6ヶ月ぶりに記事を更新しています。ミロです。

フランスに住んでいます。

 

実は最近、はてなブログのプロを解約しました。理由は高いからです。

 

↑正直高いです。

 

グーグルアドセンスの広告料でかろうじてプラマイゼロだったんですが、グーグルアドセンスからアカウントを停止されることが3回ぐらい続いてもうアドセンスやめようってなった。

 

すると必然的に広告料が入ってこないので、はてなプロを払うお金がなくなりました。

今後ははてなの無料版でブログを続けていくか、ワードプレスを始めるか思案中です。

 

みんな大好きワードプレス!! 

 

それから、私事ですが今年(2022年)12月に日本へ一時帰国することになりました。

 

前回一時帰国したのは5年前。

ごねんって・・・。

 

竜宮城から故郷に帰ってきた浦島太郎の気分(浦島太郎は700年ぐらい経ってた気もしますが。)

浦島太郎と違って自分自身に起きた変化はとくにない。アラフォーになったぐらいです。

 

5年の月日を経てアラフォーになった。

 

アラフォー化した浦島状態で日本列島に上陸しますが、ホラー映画/小説の感想やフランスネタはちょこちょこ更新しますので読んでいただけると嬉しいです。

今後もどうぞよろしくお願いします!【完】

 

【あなたを食べたいっ♡ by巨漢食人男】ホラー小説 湘南人肉医 ネタバレ感想

 

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本日ご紹介するのは大石圭氏によるホラー小説・「湘南人肉医」。

カニバリズムに快楽を得る、物腰柔らかな食人巨漢男の話です。

↓以下は雑にネタバレしているので、未読の方はご注意ください。

 

ーーーーーーー【▼以下ネタバレと感想です】ーーーーーーーー

 

 

「人肉×医者」と言う超絶不穏ワードが並ぶこの小説。はじめに言いますがあんまり怖くありません。

その理由は順を追ってを説明します。

 

まず、食人巨漢男のターゲットは女性。

最初のエピソードは狩られる側の女性目線で話が進みます。この時点では食人男が紳士に振舞いつつその異常性を垣間見せるので、まあまあ怖いです。

 

気に入った女性に近づき「あなたを食べたい」と誘いますが、女性はベッドへの誘いだと勘違いし物理的に食べられるとはつゆ程も思いません。

 

しかし二章目からは目線が食人男本人に変わる。

そこでなんだか怖くなくなるんですよ。

たぶんこの食人男の設定に一貫性がないからだと思うのですが、

 

とにかく個人的にこの小説が怖いのは第一章目だけです。

 

この巨漢男は「死姦する奴なんてとんでもない」みたいに、某・蒲生稔をさらっとディスったりする。

そのわりに「愛してる」とつぶやいてから全体重を被害者に乗せて絞殺するあたりはまんま蒲生稔です。その蒲生稔でさえも自分的にはエドモンド・ケンパーなのですが。

 

 

【↓以下は一読すると怖そうだけどもその実、怖さをぶち壊しに行ってるポイントをご紹介します。はりきっていきましょう!】

 

 

 

【怖さぶち壊しポイントその1】食人男に設定盛り込みすぎ問題

ー 幼い頃は大人しく何をしてもパッとしない子どもだった。

ー しかし急に砲丸投げに目覚め、全国大会を制覇する。

ー 子どもの頃に騙されて猫を食べさせられた。

ー 不思議な老婆から”何万人も殺す権利”(?)を手に入れた。

ー 浄化水槽に毒物を入れた過去がある。

ー 神の手を得て整形外科医になった。

ー 君を食べたい(ニッコリ)とか言い出すサイコ野郎かと思えば、食人の際には”こんなことはやめなければ・・”と自責の念にかられ、世界の貧しい子供たちを20人ぐらい養子にする。

 

犯人の性格設定がしっちゃかめっちゃかな印象です。

おどろおどろしい過去やエピソードが山盛りなんですけど、”これは誰の話なんだろう?”といちいち考えてしまって話に入り込めません。

 

【怖さぶち壊しポイントその2】いらんエピソードがてんこ盛り

ー 被害者の肉とは知らず人肉を食べる刑事。

ー この刑事はのちに人肉の味が忘れられず、犯人の食人男にどこであの謎肉を買ったのか電話してくる。暇か。

たぶん本職の刑事さんは殺人事件の参考人の家で出された謎肉は食べないし、その謎肉を買いたくて犯人に電話もしてきません。

 

ー 犯人は食人の際に被害者の乳から癌細胞を発見し、焼いて食べる。

 

ー 26万円のお小遣いをもらうために、初めて会った男の前で全裸になり、首にロープをかけて指示された通りに自らの立つ椅子を蹴り倒す女子高生。

小遣い欲しさにセルフ首吊りする女子高生っているのかな?巨漢男の圧倒的物腰の柔らかさと金持ち感に感覚が麻痺して言いなりになってしまうらしいけども。

 

 

端的に言うと、事件になんの因果関係もない不気味エピソードの多さで殺されそうになります。

 

物語の最後のほうで食人男が破滅に向かう伏線が入ります。

食人男が近所の赤子(女の子)をさらってきて自宅で育て、時が経ち赤子は小学生ぐらいまで成長します。

この子が食人男の生首コレクションに嫉妬を感じ、生首の一つを窓から捨てたことで一連の犯行が発覚してENDです。

 

すごく言いたい。

 

赤子は激務の整形外科医が片手間に育てられるほど大人しくも静かでもないということを。

 

ミルクを飲んでゲップをさせて、静かに寝息を立て始めたー・・・みたいな描写があるんですが、そんな静かな育児は稀です。

 

 

テレビがあってお手伝いさんもいるマンションの一室で女児は育ちますが、男が言語を教えなかったので言葉を話せないー・・・とか。

 

成長してからも、外界に一切の興味がなく今日も音楽を聴いて男の帰りを待つー・・・とか。

 

外を行き交う人々を眺め、窓辺の花を愛でてー・・・とかも(以下略)

 

食人男の犯行に至っては、

自分の元妻を殺害して食し・近所に住む家族の赤子を誘拐してかつその赤子の母を殺害して食べ・さらに攫った赤子が小学生ぐらいに成長するまで事件が発覚しないという非現実を補うだけのリアルな描写が足りない印象でした。

 

そう言う意味ではグロ苦手な方でも読めると思います。

 

【▼カニバリズムの先にある、究極の快楽の世界を覗き見たい方必見。】

 

【▼某・蒲生稔の犯行はこちら。「殺戮に至る病」のネタバレ感想です。】

www.japanimafrance.com

 

 

【ロッキー】超絶かわいい!!ですます調キャラ【パウパトロール】

 

 

2022年明けましておめでとうございます!!

世界の殺人鬼考察サイト【MONSTERS】を読み耽っている間に年が明けました。

 

ミロです。フランスで生活しています。

今年が皆様にとって幸多き良い年になりますように。

 

今回は特別お題「わたしの推し」について記事を書こうと思います。

みなさんパウパトロールというアニメはご存知ですか?

 

仔犬たちがパウっと問題を解決!カナダ発のアニメ、パウパトロール。

 

仔犬たちと司令官の少年で結成された”パウパトロール”たちが、彼らの住む町・アドベンチャーベイで起こるトラブルを解決する一話完結型のアニメなんですけど、

とにかく仔犬たちが個性豊かで可愛い。

 

出動する時などはそれぞれに決め台詞があって、犬たちの個性が光ります。さらに仔犬たちにはそれぞれカッコイイ専用マシンが用意されています。

推しを作りたくなる・応援したくなる要素がたくさん盛り込まれたアニメなのです。

 

【▼以下はパウパトロールのメンバーと私の推しメンバー紹介】

 

 

 

ここでお題の「わたしの推し」です。わたしの推しパウは断然ロッキー。

リサイクル担当の仔犬です。

 

ロッキー(わたしの推し

テーマカラーは緑。愛車はクリーンクルーザーです。

 

決め台詞は「くるくるくるくるリサイクル!」「もちろんであ〜ります!」

リサイクル担当で〜灰色で〜片耳がたれてて〜苦手なものは水で〜語尾にあ〜りますが付くーーー・・・。

 

もう君、可愛すぎるやろ!!?萌え死にさせる気か!

 

一話ごとにだいたい2匹の仔犬が任務遂行に選ばれるのですが、ロッキーが出てきたら本当に嬉しい。バディを組む相手の仔犬と協力したり、フォローしたりして推し犬の見せ場がちゃんと用意されています。

全シリーズを通して全ての仔犬たちに活躍の場があるので、目が離せません。

 

他のパウメンバーたちもとても可愛いので、順に紹介していきますね。

 

 

チェイス

テーマカラーは青。パウパトロール犬たちのリーダーで、愛車はポリスカー。

 

決め台詞は「その任務、お任せだぜ!」、「俺の正義が騒ぐぜ!」

ジャーマンシェパードの責任感が強い仔犬です。猫アレルギーなので、にゃんパトロール(パウパトロールの敵っぽい存在の猫たち)が出てくるとクシャミが止まらなくなる。

製作陣は萌え要素をよく理解していますよね。

 

 

マーシャル

テーマカラーは赤。愛車はファイアートラック。

パウパトロールのムードメーカー、ダルメシアン犬のマーシャル。おっちょこちょいでだいたい滑ったり転んだりしてるんですけど、やるときはビシッと決めます。

決め台詞は「パウパウ!燃えてきたぁ〜!」

 

 

スカイ

テーマカラーはピンク。マシンはフライングヘリ。

我が子の推しメンはスカイです。空のトラブルならおまかせ、へリコプターを操縦する元気なコッカースパニエルの女の子です。

決め台詞は「びゅっびゅーんとひとっ飛びよ!」

劇場版では制御不能になった巨大なお天気マシンに自分のヘリコプターをぶつけて大破させ、動きを止めるという荒技をやってのけます。

 

 

 

ラブル

テーマカラーは黄色。マシンはパワーブルドーザー。

 

決め台詞は「ブルッと任しとき〜!」関西弁キャラのブルドッグ犬です。仲間のピンチには壁を破壊して助けたりとダイナミックな面がありますが、付け毛をつけてロックを演奏したり、DJに紛したり、実は蜘蛛が苦手だったりとお茶目な面も。

シリーズ中で救助活動に参加したため、その後パウパトロールの仲間に追加されました。

 

 

 

ズーマ

テーマカラーはオレンジ。マシンはホバークラフトです。

 

決め台詞は「ノッてノッてノッちゃうよ〜!」。水陸両用のビークルで主に海上の事件を解決します。完璧なダイビング技術で水中に沈んだ車に閉じ込められた人を救うなど、しっかり任務を遂行する反面、オバケを怖がる可愛い面もあります。

ラブラドール・レトリバーの仔犬です。

 

 

 

エベレスト

テーマカラーは水色。スノーキャットを乗りこなすハスキー犬です。

 

決め台詞は「超超超超がんばるっしょ!」。パウステーションではなく、雪山に友達のジェイクと一緒に住んでいます。もともとはジェイクを助けたことがきっかけで、パウパトロールのメンバーになりました。

雪のトラブルでは愛車のスノーキャットとともに、任務にあたります。

 

 

トラッカー

テーマカラーはダーククリーン。チワワの男の仔です。

 

決め台詞は「おまかせアミーゴ!」。普段は友達のカルロスと一緒にジャングルに住んでいて、ちょいちょいスペイン語が混ざります。ジョングルでのミッションには愛車のジャングルクルーザーで駆けつけ、トラブルを解決。よく聞こえる耳は任務遂行に大役立ちですが、暗闇が苦手な一面も。

 

 

 

ケント(ライダー)

パウパトロールの司令官で10才の人間の男の子。カナダでの名前はライダー。

 

パウパトロールとともにアドベンチャーベイの平和を守る10才の男の子。車やスケボー、パラグライダーなどなんでも乗りこなす、頼れる司令官です。

トラブルが発生するとパウパトロールからメンバーを選び出し、自らも素早く現場に駆けつけます。愛車はダッシュバギー。

 

正直結婚したい。パウメンバーのグッズとかでだいぶ儲けているらしい(ゲスい)(劇場版でパウパトロールの収入源についてケントが話すシーンがあります)。

 

 

 

劇場版では耳がギザギザになって完全に片方垂れちゃってるのも可愛い。

と言うことで

はてなブログの特別お題、わたしの推し」はパウパトロールのロッキーでした。

 

彼だけミックス犬というのも逆にオンリー ” ワン ” 感があって良いですね。犬だけに。(やかましわ)

 

 

2022年もどうぞよろしくお願いします!!【雑に完】

 

▼【うっかりしていると泣かされる劇場版。ロッキーのビジュアルが「誰なの?」ってくらい変わっちゃってますが、かわいいのでOK。アニメのクオリティも最高です。】

 

▼【カナダではシーズン8まで出ているんだってね!】

 

【図書館のお姉さんが「すごいタイトルですね・・」と引いた本】ホラー小説 「姉飼」 ネタバレ感想

そりゃこの表紙だと言っちゃうよね・・・。

 

第10回日本ホラー小説大賞受賞作、遠藤徹氏によるグロテスクホラー・姉飼のネタバレ感想です。表題作に加え、三つの短編が収録されています。

先に本を読んでからネタバレを見てね!!

 

【ホラー小説ネタバレ感想 目次】

 

1. 姉飼

これ読んだ時スゴイ既視感あったんですけど、この小説に出てくるって筋肉少女帯の大槻ケンヂ氏が書いたステーシーっぽいんだよね。

ステーシーは少女ゾンビなんですけど、じゃあは何なのだろう。

 

脂(あぶら)祭りで見せ物にされている姉達に幼少期の主人公が魅入られ、以来、密かに姉を飼育したいと思うようになる。

姉とはからだを杭で貫かれても簡単には絶命しない凶暴化した女型の生き物のことです。姉飼いとは、そんな姉達を飼い殺す人間を指します。

 

主人公は姉達のことを愛しているし、ある種純愛です。ただ変な方向に突っ走っている純愛です。

 

ラストは姉飼いになった青年が自らの破滅を悟り、おそらく最後になるであろう姉を飼います。しかしその姉は、幼少期に行方不明になった幼馴染の少女だった…というオチです。

 

姉の生物学上の分類は不明ですが、アマゾンで捕獲されるという姉たちはそういう生物なのか、それとも元は人間だったのか。

姉自体の説明が不十分なのでよくわからないんですが、強烈に読み進められる一作です。

 

元人間だった姉は杭で貫いてから3日ほどで死に至るのに対し、アマゾンで捕獲された姉は2〜3ヶ月生きるようです。また、元人間の姉は不良品と呼ばれ、生命力が弱いような描写もあります。

 

話の筋はあっさりしてるんですが、全体的にグロテスクな文章が想像力を掻き立てます。

脂祭りの脂神輿(あぶらみこし)の描写なんて胸焼けしそうになる。ドロドロに溶けた脂を担ぐ若衆とか、耐性がないと嘔吐するほどの悪臭とか。

 

不快な脂描写で伊藤淳二氏の漫画「グリセリド」のニキビ脂を思い浮かべてしまう。

 

ちなみにこの脂の原料ですが、うんちのおにく(原文ママ)と呼ばれる豚肉から採れる脂なのだそう。笑いそうになるからやめて。

 

 

2. キューブガールズ

その名の通りキューブをお湯で戻すと生身の女の子が出来上がると言うシロモノ。価格は2〜4万円だって。

 

この女の子たちは性格や外見など自分でカスタマイズできるらしいです。

 

どんな仕組みでお湯でもどすと女の子になるのか、詳しい説明は一切ありません。また8時間後には賞味期限が切れると言うことですが、

期限が過ぎたらどうなるか、そもそも賞味じゃなくて消費ではないのか、など詳しい記述が一切ないので完全に読者の想像に委ねられます。

 

3. ジャングル・ジム

みんなの憩いの遊具ジャングルジムの生活が、一人の女性に出会ったことから崩壊していく話です。

まずジャングルジムっていうのは人間の名前ではなくて、まんま遊具のことです。

 

なのでしょっぱなからジャングルジムが人語を話して人間と交流する画が想像し難い。さらに女性と一夜をともにしたりします。

 

レストランで食事をし、ベッドでの女性との体験は、ジャングルジムにとっては初めてのことだったー・・

 

みたいな文章でもうわけわかめです。しかもさらっとジャングルジムがDTであることを匂わせている。

 

やはりジャングルジムという名の人間かと再度考察したんですが、どこをどう読んでも最後まで遊具のジャングルジムでした。

 

4. 妹の島

姉とか妹とか好っきゃな〜て印象なんですけど、ここでもやはり妹がひどい目に遭います。

姉飼でもそうですが、登場人物たちが喋る関西風のなまりがやけに粗野で怖い印象を与えます。

巨大な果樹園を島全体に展開する男の一族が昔ある少女に集団婦女暴行をはたらき、それによって少女は発狂。少女の兄が殺人蜂を使って復讐するという話です。

 

八つ墓村に行き過ぎたエロと無駄にグロテスクな描写を盛り込むとこんな感じになる。

 

 

【▼タイトルの姉飼が持つ圧倒的世界観に比べるとやや大人しい印象はありますが、その他4編も十分楽しめる内容だと思います。】

 

【▼個人的に好きな作品。変に世界観がしっかり作り込まれています。】