ジャパニマフランス

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オペラ「ユダヤの女(Juiveジュイヴ)」ネタバレ感想

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音楽監督:Daniele Rustioni
演出家:Olivier Py
エレアザル: Nikolai Schukoff
ラシェル: Rachel Harnisch
王女ユードクシー:Sabina Puértolas
サミュエル兼皇太子:Enea Scala

キリスト教枢機卿:Roberto Scandiuzzi

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オペラ「ジュイヴ(ユダヤの女)」を観てきました。以下は雑なネタバレです。

舞台装置が暗い・・。どんよりとした背景に枯れた森が広がっており、暗い家の中ではユダヤ教徒たちがお祈りをしています。

敬けんなユダヤ教徒の父エレアザルと娘のラシェル。キリスト教徒からの迫害を受けて生活しています。エレアザルには昔、迫害から自分の息子を殺された痛ましい過去があります。娘のラシェルにはサミュエルという恋人がいて、二人きりの時はラブラブですが、婚約の話が出ると逃げる

だめんずの匂いがプンプンしてきます。

 

実はサミュエルはキリスト教徒の皇太子で、ちゃっかりクリスチャンの婚約者もいるんですよ!

この婚約者がセクシーな王女・ユードクシー下着姿にスケスケドレスという出で立ちで、さらに太ももまでの赤いタイツを履くという徹底ぶりですからね。そりゃ負けますよ、ラシェルは。

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【↑真ん中がスケスケドレスの美女・ユードクシー。サミュエルに月桂樹かなんかの冠を乗せる場面です。】

このことを知ったラシェルは怒りのあまりユードクシー、キリスト教枢機卿の眼前でサミュエルと恋仲にあったことを暴露します。

ラシェルとユードクシーは一瞬キャットファイトを始めようとしますが、最終的に抱き合って和解。

他教徒との密通は死刑を意味します。キリスト教枢機卿にキリスト教に改宗するかユダヤ教として処刑されるかを選ぶよう言い渡されたラシェルは、処刑されることを選びます。

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【↑十字架を掲げるキリスト教徒の後ろに、引っ捕えられたエレアザル。ちょっと怖い。】

キリスト教枢機卿には生き別れた女児がいました。昔、盗賊に家が焼かれた際赤ん坊だった娘を救い出せなかったことを深く悔やんでいます。しかしエレアザルがその娘を知っていると言うのです。

こ・・この展開はもしや・・!

ユードクシーとサミュエルが教会で婚姻の契りを結ぶ頃、火あぶりの広場に向かうラシェル。それを必死に止めようとする父のエレアザルは、自分は刑に処されてもいいが、娘には思い直して欲しいと願います。

 

この時にね、おびただしい靴が舞台上から降ってくるんです。「えっ!裏方さんが落とさはったんかな!?」ってびっくりしたんですけど、犠牲になったユダヤ教徒たちのオマージュらしい。前の席で見てたお年寄りとか発作起こすんじゃないか?ってぐらいすごい量の靴。

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【↑エロイムエッサイムではありません念のため。】

一人処刑場へ行ってしまったラシェルを嘆くエレアザルは、キリスト教枢機卿に「あれはお前の実の娘だ。俺が数年前に焼けた家から救い出し、育てたのだ

と告げます。これで俺の復習は完成したと言い残し、ラシェルの後を追って処刑場へ赴くエレアザル。生き別れた娘を自らの手で処刑場へ送ってしまった枢機卿が、絶望に崩れ落ちてEND。

うわあああ暗いいい!!戦争や迫害はこういう最悪な結果しか生まないと考えさせられる、胸を裂くような作品でした。

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 【↑なかなか衝撃的な内容のオペラですが、暗い気分になりたい時は是ぜひ観てみてください。ちなみに3時間半ぐらいあります。】

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 【↑たぶんサントラ版です。】