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映画「ちいさいおうち」感想【老人が泣く姿は無条件で涙腺崩壊する】

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 2014年 / 日本 /137分

監督 山田洋次
脚本 平松恵美子・山田洋次
原作 中島京子
出演者 /松たか子 /倍賞千恵子 /吉岡秀隆 /黒木華 
音楽 久石譲
撮影 近森眞史
編集 石井巌

【あらすじ】

第143回直木賞を受賞した中島京子の小説を実写化。物語は、甥の健史(妻夫木聡)が親類のタキ(倍賞千恵子)の残した大学ノートを読み進めることから始まる。タキの自叙伝であるそのノートから、彼女が生涯背負った秘密が明らかになる。

【予告編です】


『小さいおうち』予告編 - YouTube

 以下雑なあらすじとネタバレです。まだ映画を観ていない方は先に観てから読んでね☆

第64回ベルリン国際映画祭で最優秀女優賞を受賞した【黒木華さん】の名演技が観たくて鑑賞しました。

妻夫木・・大学生設定って・・!!

雪の降りしきる田舎から東京へ奉公に出て来たタキ(黒木華)。もうめっちゃ素朴。思わず「かわいいな・・」とつぶやいてしまうほど素朴なタキちゃんが、赤い屋根のモダンな家で女中さんとして暮らし始めます。

正直観る前は「ヒューマンドラマ系な〜、苦手なんだよなあー」(-∀-`; )と思ってました。寝そうになるし、どうせ泣かせる気だろ?って勘ぐっちゃうんです。で案の定めっちゃ泣きました。映画館の中で私の嗚咽が響いてました。

 

で話を戻しますと、前半は赤いおうちの住人とタキちゃんで仲良く過ごすんです。息子の恭一が小児麻痺になるも、タキちゃんの献身的な介抱でどんどん良くなります。

物語が動くのは、雅樹の部下・板倉(吉岡秀隆)との出会いからです。タキちゃんと時子は「素敵♡」(○´∀`)(´∀`○)キャッキャとか言いつつ盛り上がるんですけど、私はどうしても「純・・大きくなったね・・」ア~ア~アアアアア~♪

今回は純ではなくて板倉さんです。

 板倉さんは心優しいデザイナー。タキちゃんは彼に対して淡い恋心が芽生えるんですが、時子さんも同じだったようです。

ある日、落雷鳴る暗闇の中で時子さんと板倉がキッスしたことから、二人の逢瀬が始まります。この雷鳴轟く大雨の日なんですが・・ちょっとドリフのコントみたいになってました。嵐吹き荒れ過ぎィ!

そんでタキちゃんは自分の恋はおいといて、時子さんをめっちゃ心配するんです。奥さんが若いモダン男と不倫してるとか、近所に知れたら怖すぎますからね。でも松たか子さん扮する奥さんは突っ走っちゃう。序盤明るかった映画の雰囲気にいつのまにか暗雲がたちこめてきて、ひっそりと、でも確実に全員不幸になるパターンのフラグが立ち始めるんです。

時子の動向が心配なタキちゃんは、時子の友人・陸子(中嶋朋子)に相談します。「ほたる・・大きくなったね・・」( ´ ∀`)と思って観てたのは私だけでしょうか?

 

要所要所で妻夫木(甥っ子)と生きていた頃のタキばあちゃんの会話が入るんですけど、タキばあちゃんが揚げたトンカツがめっちゃ美味しそう

三元豚ロースとんかつ(120g×8枚)
 

 で問題のシーン。タキばあちゃんの号泣です。

うっ・・!?老人が小さくなって号泣してる・・!ここはなんとか堪えたんですが、その後のタキばあちゃん「私ね、長く生きすぎちゃったの・・」の一言で撃沈!涙腺大崩壊ッ!!映画館で漏れる嗚咽!(すいません私です)「ヒューマン映画をナメてたのは謝る・・だからもうやめてくれ!」て叫びそうになりましたよ。タキばあちゃんの号泣と「長く生きすぎた」という台詞の意味は・・?

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時子さんと板倉の逢瀬は、板倉に赤紙が届いたことで終わりを告げます。

戦争に行く旨を告げに、板倉が小さいお家を訪ねた夜。帰りの道で追って来たタキちゃんに、板倉は「僕が死ぬとしたら、時子さんとタキちゃんを守るためだからね」と言い去っていきます。ほ・・惚れてまうやろ〜!!

赤紙のショックから、ご近所の目もかまわず板倉に会いにいこうとする時子さんを制止するタキちゃん。「お手紙を書いてください。私が板倉さんに必ず届けますから」との提案に根負けした時子さんは、板倉へ最後の逢瀬の手紙をしたため、タキちゃんに託します。

しかし手紙に書いた約束の時間を過ぎても板倉は現れず、実質これが時子さんと板倉の別れになります。そして戦争が激化、赤いおうちは焼け落ち(このシーンがめっちゃCG)ご主人と時子さんは空襲で帰らぬ人になります。

ここで甥の健史がタキばあちゃんの遺品から手紙を発見します。封の空いていない、板倉あての時子と書かれた手紙。で気づいた・・

う・・・うわあああ!!タキちゃん板倉さんに手紙渡してなかったのかあああ・・。タキばあちゃんの涙の真相でした。

 

この映画は一人の女性の目線から始まって終わります。戦争なんてまるで無いみたいに帝都が栄えて、洒落た家にはモダンな人たちが出入りし、その大好きな人たちがなんだか不幸になっていくのを不安になりながら見ている。大切な人が戦地に行くという事態にならないと、初めて戦争をほんとうに実感できないのかもしれません。